●バンティングとベストのインスリン発見
週末は大雪でどこにも行けませんでしたが、糖尿病について勉強することができました。
以前、購入してあまり読んでいなかった「インスリン物語」を読み進めました。糖尿病を専門にしておきながら、フレデリック・バンティングとチャールズ・ベストがインスリンを見つけたエピソードを知らなかったのは恥ずかしいと感じました。
インスリンを発見した当初、バンティングは29歳の整形外科医、ベストに至っては19歳の医学生です。よくこの若手のコンビが世紀の大発見を成し遂げたものです。
●「ハイコンセプト」が求める6つの能力
医学部で勉強していたときから、医学部で扱う教科書に不満があったのは、歴史的な背景があまり書かかれていなかったことです。
ひたすら事実の羅列が続きます。これでは覚えられません。医療に関わる情報は、どんどん増えてきていますから、今、学生をやっている人たちは、私たち以上に苦労されていると思います。
私のお気に入り本のひとつであるダニエル・ピンクの「ハイコンセプト」では、これからの時代に必要とされる能力は、「機能・議論・個別・論理・まじめ・モノ」ではなく、「デザイン・物語・全体の調和・共感・遊び心・生きがい」であると述べています。
26歳、研修医2年目のときにこの本を読んでから、「ハイコンセプト」が求める能力を鍛えるように意識して生活しています。
特に、21世紀の学習教材には、「ハイコンセプト」が示す6つの要素を含んでいる必要があると考えています。
●「ハイコンセプト」な医学書を目指す
ですから、医学書といえども、デザイン性に優れていて、惹きつけられる物語を語り、全体の調和を考えながら構成し、読者の共感を得られるように、遊び心を織り交ぜ、できれば生きがいを提示するような内容を目指すことを目標とした方が良いと思っています。
これはかなりハードルの高い作業でしょう。これまでは文字でひたすら押していく本が名著と呼ばれる傾向が強かったように思いますが、今では文字だけで学習する必要はないと考えています。
私たちの世代は、本だけでなく、ゲームやマンガで育ちました。文字以外からも様々なメディアを通して学習してきた経緯があります。
何かを学習するのであれば、ゲームやマンガのような要素が加わった方が格段に学習効率が上がると思います。
●シマジロウで学ぶ5歳の娘
5歳の娘は、2歳頃からベネッセの教材で学習しています。ベネッセの教材は素晴らしい。幼い娘は毎月、ベネッセの教材を楽しみにしています。
シマジロウたち、個性豊かなキャラクターを使って、日常の様々な問題を分かりやすく解説していくベネッセの教材は、学習するのに理想的だと感じています。
娘は、私たちが教えなくても、シマジロウたちを通して自主的に学習しています。小学校に入る前の娘を自主的に学習させてしまうベネッセの教材は、いつも驚異的だと感じています。
このランドマップ研究室は、ベネッセの教材から多くのヒントを得ています。
まずキャラクターをたくさん用意したのは、シマジロウを意識しています。印象の残るキャラクターたちが語ることによって、覚えにくい事実も印象に残るようになるからです。
●「ハイコンセプト」な糖尿病の学習書を作るには
「ハイコンセプト」の理論に則った糖尿病の学習書をこのランドマップ研究室で提示できていけたらいいなと考えています。
今は構想段階なので、実際の文章を公開していませんが、この数日間はかなりの下調べをしていました。
現在は、インスリンの歴史、経口血糖降下剤の歴史、糖尿病に関わる大規模臨床試験の歴史などの情報を丁寧に集めています。
しかし、いくらたくさんの情報を集めても、そのまま羅列して提示しただけでは、「ハイコンセプト」な糖尿病の学習書にはなりません。
それらの情報を有機的に繋げて、優れた物語としなくてはいけません。
視覚的にも訴えられるようにデザイン性も考える必要があります。
それぞれ内容の別個に記していくのではなく、関連付けて全体として調和が取れるようにしなくてはいけません。
自分だけが理解できるのではなく、読んだ人たちが共感が持てるような内容にしていかなくてはいけません。
堅苦しい話ばかりではなく、遊び心も必要です。
そして、何よりそれを読むことによって、日常生活が前向きに送れるようになれば、最高です。
医学的な情報をそこまでに昇華させるのは、簡単ではないと思いますが、地道に仕掛けを作っていきたいと思っています。
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